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05
   

荒川洋治『文芸時評という感想』(22)

 今日は贅言はひかへて、『文芸時評という感想』からの引用を以下に示すだけにする。

・岩阪恵子「掘る人」(新潮)が、今月いちばん「よかった」。夫は単身赴任。姑と二人で暮らす妻の日常を描くものだが、こまやかなつくりである。たとえば/ひと月ぶりに帰ってきた夫と、それを迎える姑の「よろこび」のようすなど。また、夫が隣の部屋で寝る妻に、「襖を細めにあけ」て、話しかけるくだりもこころにくい。たったひとりになった気分で生きる妻は、ことばのない世界に入り、視線だけで生きていく。ぼくはこのさびしい小説の、さびしい女性がとてもすてきな人に見えてきた。すてきな人だからこういうかなしみのなかに入っていけるのだと思えて、胸が熱くなったのである。この作家は、書いたこととまったくちがう情緒を、読む人のなかにつくりだす力をもっている。(278-79)
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