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07
   

三浦しをん『舟を編む』(光文社)

 以前、三浦しをんのエッセイを読み始めて、あまりの品の無さに投げ出して以来、もうこの人の本を読むことはないだらうと思つてゐたら、「エッセイと小説では別人になる」と二人から教へられ、少し氣を取り直して、やつと『舟を編む』を手に取つた。

 辞書編纂の話だといふので興味はあつたのだが、氣になることが色々と目についた。

 随分前から「広辞苑によると、といふ言ひ方がはづかしい」と意識してゐる出版人が大半ではないかと私は思つてゐるし、『大辞林』のはうが遙かにすぐれてゐるのに、未だに広辞苑を引き合ひに出す人がゐるのは理解できない、とまで明言する人(例へば、東京大学の柴田元幸)がゐるのに、『舟を編む』ではその広辞苑が辞典の標準であるかのやうな扱ひをされてゐるのには、かなりの抵抗を感じた。認識不足、とも思つた。

 「守衛」といふ言葉も、小説家なら避けて「警備員」にすべきだらう。

 また、どうでも良いことかもしれないが、「アレルギー源」(148)は「アレルゲン」が普通。

 「佐々木」といふありふれた名前にいちいち「ささき」のルビを打つのはなにか特別な意味があるのだらうか。

 また、「モーゼ」(204)を「モーセ」にしなかつたのには、なにか理由があるのだらうかとも思つた。

 それなりに面白い小説だつたが、辞書の編纂を物語の中心に据ゑたわりには、迫真性に乏しく、借り物の世界のやうに浮いてゐる感じがして、説得力に欠けてゐた。
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